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エグゼクティブ・リーダー インタビュー 

得意分野を増やすことで、チャンスを拡げる

02 Aug 10:00 by 内野 千佳子

タッパーウェアブランズ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 竹本エリさん。スペシャライズドグループ 株式会社。

タッパーウェアブランズ・ジャパン株式会社

代表取締役社長 竹本エリ氏


キャリアを考えているビジネスパーソン向けに、外資系企業で活躍するエグゼクティブからのメッセージを紹介するインタビュー・シリーズ。スペシャライズド グループのコンサルタントが聞き手となり、各分野で活躍するエグゼクティブにインタビュー。エグゼクティブたちが、大切にしてきた信条、転機をチャンスに活かす秘訣、その企業で働く魅力など、様々なお役立ち情報をお届けします。 


 タッパーウェアブランズ・ジャパンの創立55周年の節目の昨年、初の日本人女性社長が誕生しました。マーケティングを通じて、さまざまな外資系企業にてブランディング活動を行い、顧客層を拡げるなど、成果を出し続けている竹本エリさん。


「仕事とプライベートがシームレス」と言う言葉に裏打ちされるように、気負うことなく、自らの得意分野を増やすことで、チャンスも拡げてきた。


 スペシャライズド グループにて、ダイレクトセリング業界と化粧品業界に精通しているコンサルタントの内野千佳子が、約20年にわたり交流のある竹本さんにキャリアや仕事を選ぶ際の信条についてお伺いしました。





タッパーウェアブランズ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 竹本エリ氏

上智大学外国語学部卒業後、ウォルト・ディズニー・ジャパンにてライセンス事業に従事し、ブランドマネジメントの大切さを学ぶ。その後、オフィスサービスを提供するサーブコープ、スポーツ専用チャンネル「J SPORTS」を放送するジェイ・スポーツを経て、ハインツ日本へ。商品開発、調査、プロモーションなどマーケティング活動全般に携わる。ル・クルーゼジャポンでは、副社長としてブランドの価値向上やキッチンウェアの新規チャネルへの積極的な展開を行う。2018年4月から現職。創立55周年を機に、タッパーウェアブランドのさらなる価値向上や若い世代への認知を強化するコミュニケーション活動に力を入れている。








聞き手:スペシャライズドグループ 株式会社 セールス&マーケティングチーム シニアマネージャ― 内野千佳子

カリフォルニア大学バークレー校卒業後、日系大手不動産会社とサービスオフィス会社のシニアセールス&オペレーションマネジャーを経て、2010年にスペシャライズドグループへ入社。現在はダイレクトセリング業界と化粧品業界を担当しながら、消費財、リテール、ラグジュアリー&ファッション、ホスピタリティーチームのマネジメントに従事。幅広いネットワークを活かし、求職者の1人1人の経歴やスキルに合わせたキャリアアップやキャリアチェンジサポートを得意とする。






ここで立ち止まっていてはいけない


 カラフルなビタミンカラーのタッパーウェアが並ぶ本社のオフィスのテーブルに座りながら、ご自身のキャリアのお話を始めてくれた竹本さん。常に笑顔を絶やさず、南国の太陽のような存在だ。この前向きで明るい印象は、「もともと生まれ持っていた」と話すが、大学時代のブラジル留学を経て、さらに開花したそう。ブラジル留学に有利な大学へ進学するほど、ブラジル好きの竹本さん。そのおかげで、ポルトガル語を習得した。この「ブラジル」・「ポルトガル」の存在が、何度か訪れる転機において、チャンスをつかむ重要な役割を果たすことになる。外資系企業で様々なマーケティングのキャリアを積んできた竹本さんが、キャリアをスタートしたのは、意外なことに日本の大手電機メーカーだった。


「留学をしていたので、海外と関わりのある部門へ配属されるのかと思いきや、なんと半導体工場へ勤務となりました。ただ本社での研修がとても充実していて、社会人として必要な知識やルールを学ばせてもらいました。その時の経験は、日本で働くうえで必要な自分の礎となっており、日本企業で仕事をスタートできたことは、とてもよかったと思います。」


 電機メーカー工場で働きながら、たまに得意なポルトガル語の通訳のバイトをした。第1の転機は「トヨタカップ」でブラジルチームの通訳で駆り出された時に訪れる。ブラジルチームが勝利し、熱気溢れるフィールドを目の当たりにした時に、まるで雷に打たれたかのようにビビッと「何か」を感じたのだ。


今の会社から次に動かないと。世界には自分の知らない世界がまだまだ沢山ある。ここで立ち止まっていてはいけない、と思ったのです思ったが吉日、翌日には会社に辞表を提出しました(笑)。」



経験していないこと、自分の気持ちが動かされることを基準に


 その後、主にマーケティング畑でキャリアを築いていった。   驚くほどの行動力で自らの道を切り開いていく姿は気負ったところがなく、とても軽やか。転職をする際に、どのような基準で決めているのかを聞いてみると、


「今までに経験していないこと、自分の気持ちが動かされることのどちらかを大事にしています。」と、力を込めて語った。


「初めて働いた外資系企業では、キャラクターのブランドマネージメントをベースに様々な企業とのライセンス契約を担当していました。何よりも新鮮だったのは、社内で自分の意見を言ったり、クリエイティブにアイディアを出す先輩たちが多くいたことでした。日本企業では、なかなか見られない雰囲気でした。圧倒的なブランド力の背景には、ブランドを守る大切さを徹底的に学ぶ環境や仕組みがあった一方で、ゼロからモノを作っていないことにどこかで物足りなさも感じていました。そのうち、モノを作るマーケティングに携わりたいと漠然と思っていました。」


 第2の転機は、4社目の転職活動の際に訪れた。転職エージェントからアメリカの食品会社を紹介されたのだ。社長がなんと「ポルトガル人」という。


「まず、ポルトガル人社長と働くということに興味を感じました。何よりも長年携わりたいと思い続けていた、製品開発を含むトータルなマーケティング活動に携われることが魅力でした。また、食べることも好きでしたし、営業担当と一緒に現場やお客様商談の動向することも、とても面白い仕事でした。海外のトマト畑やポテト畑の視察など、普段できない経験もしました」


 当時、仕事は大変だったが充実しており、転職する気持ちは全くなかった。そんな矢先に、知人に誘われた会食で同席した転職エージェントから、フランスのキッチンウェアメーカーでマーケティング担当を探していることを聞く。


 なんと、社長が「ブラジル人」の女性という。そのメーカーの製品が好きだったこともあり、心動かされ、転職を決意する。これが第三の転機となったのだ。


「ヨーロッパの会社で働いたことがないので、これもひとつの経験になるかもしれないと思いました。ちょうど戦略として、店舗数の拡大や、鍋から周辺商品を充実させるタイミングでした。最終的には世界第二位の市場だった日本法人の副社長として、様々なマーケティング活動を仕掛けることができ、とても面白かったです。」​


Eri Takemoto


異なる視点でアドバイスしてくれる人がいることが重要


 6年ほど経っていたある日、長年信頼関係のある転職エージェントからタッパーウェアを紹介される。


「既に6社経験していましたが、私にしては珍しく転職を悩みました。。当時、多くの人の支援をうけながら、仕事の幅も広がっていましたから。ただ、タッパーウェアの色々な話を伺ううちに、私への期待を感じ、そこまでチャンスを頂けるならと、一度きりの人生で挑戦させてもらおうと決心しました。いつも応援してくれていた一人でメンターのような存在のイタリア在住の日本人の友人に「実は会社を変わることになりました。すみません。」と伝えたところ、『なんで謝るのですか?僕は、エリさんが勤めているこの会社を応援しているのではなくて、たまたまその会社に勤めているエリさんを応援しているのですよ。今度はタッパーウェアにいるエリさんを応援するだけです。』と言われて、ふっと楽になりました。。異なる視点で見ている方の言葉にとても救われ、自分自身に軸があればどこでも支えはある、そして残されたものはそれなりに成熟していくのだと感じました。」


 竹本さんは、「自分と違う視点で見ることができるメンターのような存在のみならず、自分と異なる「外」の世界の人と関わりがあることも大切」だと力説する。


「自分と異なる次元で見ることができるような人が周りに2-3名いると、悩んだときに解決の突破口を見つけることができ、乗り越えやすくなると思います。私が壁にぶつかったときには、そういう方々の意見を聞くようにしています。。若い方々がネガティブ思考になったり悩んでいると、その悩みが小さく感じるほどの世界があるということを知って欲しいと思います。自分と異なる視点を持つ人と話したり、自分よりもレベルの高い人と付き合うことで、視野が広がる。何かの欠点を気にして愚痴をいったり文句をいうよりも、良い部分を探して認めた方が人生が楽になる、そのことに気づいていない人が多いように思います異なる視点を持つことで、気負うことなく楽しい人生を過ごせば、チャンスも拡がるのではないでしょうか。」



ブランドを好きな気持ちを最大限に伸ばす


 プラスチック製密封容器の代名詞として、食品を保存する際に多くの家庭で親しまれてきた「タッパー」。マーケティングや現場感覚を活かし、ブランドとしての可能性をさらに伸ばしていく挑戦をしている。


 タッパーウェアのメンバーの方々は、料理をする方が多い。自ら率先して友人をタッパーウェアのイベントへ招待するなど、仕事とプライベートと関係なく積極的に普及活動をしている。


「今年、創業56年目を迎えました。お客様やマネージャーと呼ばれる販売活動をしてくださる方々が、タッパーウェア・ブランドを好きな気持ちを最大限に伸ばせるように活動したいと思います。若い方は、その良さをご存知のない方が多いので、誰もがタッパーウェアを知っている状況にしていきたいです。容器の色をビビッドな色にしたり、クリエイティブやSNSなどのコミュニケーションを工夫するなど、おかげさまで新たな取り組みへの手応えを感じています。」


 竹本さんのスケジュールは超多忙だ。現場でのコミュニケーションを大切にしており、日本全国の販売代理店の周年イベントや打合せ、そして本社との電話会議や出張など、日本全国を飛び回っている。


「マネージャーの方々とお会いすると、ものすごい情熱で製品の良さを共有してくださり、ブランドに対する愛を感じます。家族のように接してくれる彼女たちは最高です。その先にいるお客様の健康や喜びなどを提供し、同時にプラスチックゴミの削減に貢献する、食品ロスを減らす節約に貢献するなどの持続可能な社会貢献にも取り組んでいます。タッパーウェアは、高品質なプラスチックを利用しており、実は耐久性が高く、長年利用できるので、プラスチック容器の廃棄量を減らすことができ、エコなんですよ。」


 マーケティングなどの社外への変革を推進する一方で、社内もマインドセットを変えていくなど変革も必要と感じている。


「時代は変わっている。変革を恐れないこと。いろんな人が自分の意見を言えたり、共感したり、褒め称え合うようなカルチャーにしていきたいです。よりフラットな雰囲気で意見を言える環境。それには、お互いの信頼関係を築くことが必要です。ロールモデルになるようなリーダーシップがとれるように、管理職のマインドもシフトさせていくことが大切と考えています。」​




得意分野を持っておくと、チャンスが増える


 今までのキャリアを振り返り、自発的に探すというよりも知人や転職エージェントからの紹介で転職をしてきた竹本さん。


「得意なこと、好きなことが明確だと、仕事を勧める側も提案しやすいと思います。チャンスを掴むコツとしては、人脈などのネットワークに加えて、得意分野を持っておくことをオススメします。得意分野を多く持っておくことで、チャンスも増えますから。その特異分野を増やす方法は、舞い込んだ仕事を嫌がらずやってみること」


 社長になってから、大きな変革の推進など一筋縄では進まない仕事も増えた。そのような時、上司のサポートが大いに役立っているという。


「大きな変革も、上司からのバックアップがあったので、遂行できることがあります。上司の存在は大切さを知ったからこそ、将来は、新たなリーダーを育成するような仕事をやってみたいです。人が持つ可能性を引き出すには、メンターからのアドバイスや、トレーニングを通じた気付きが不可欠です。視野が広がることで、生き方が楽になったり、仕事が面白くなるので、次のステージへ行くお手伝いがしたいです。」


「経験したことのないこと」「気持ちが動かされること」を信条に、チャンスを掴んできた竹本さん。その結果、自らのスキルアップを行い、市場価値を高めてきた。しかし、転職して、こんなはずではなかったとの経験はなかったのだろうか?


「自分が変わることが大切と思っています。仕事内容や環境が異なるのは、想定範囲と考え、どうやってその状況をくぐり抜けることができるのかが大切です。」


 相手の話を聞こうという姿勢を持ち、いろんな意見を取り入れる余裕を持つことができるからこそ、前向きに考えられるのだろう。これからも、得意なポルトガル語やブランドの価値を向上させるマーケティングスキルを活かしながら、今までやったことのないことをチャレンジし、軽やかに、様々なチャンスをつかんでいくに違いない。




Tips

オンとオフの過ごし方

仕事とプライベートの垣根がほぼないので、仕事が趣味の延長線上にあるような感覚です。オンとオフを意識せずにいられることは幸せだと思います。


オフタイムのリフレッシュ方法

お休みの日も忙しく動いているので、すぐにできる方法として、その場に集中することを心がけています。例えば、かつてはゴルフのプレー中に仕事のことを考えたりメールを見たりしてスコアに響いていましたが(笑)、その場に集中できるよう、ほぼ携帯を見ないようになりました。そうすることで、脳が活性化され、リフレッシュできるようになりました。あとは、全く違う世界の素敵な友人達と会うことですね。






タッパーウェアブランズ・ジャパン株式会社

1963年に創立し、人にも環境にも優しい高品質のプラスチック密封容器のリーディングカンパニーとして、半世紀以上にわたって、キッチンを楽しく彩るデザイン性と機能性に優れた革新的な製品を提供し続けています。食材の保存や整理整頓のみならず、厳選された原料を用いた調味料やサプリメント、健康食品、スキンケア製品なども手掛け、人々の美と健康をトータルにサポートしています。





公開日:2019年8月2日
(インタビュー実施時点の御所属・役職名を記載しております) 


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