離職率を下げるのは職場の一体感と好きな同僚の存在

ワシントン大学とトルーマン州立大学の研究チームがこのほど、過去15年間の仕事に対する満足度と従業員の退職率を調査した結果を公表した。それによると、仕事への不満が必ずしも退職の理由ではないという。この調査よると、職場のグループや同僚たちとの一体感を持っている人ほど職場にとどまる傾向が強いという。

人は何をきっかけに転職を思い立つか?

「仕事のやりがいが感じられない」。「上司と反りが合わない」。「会社や業界の将来性に不安がある」。「給与に不満がある」。「会社に人材を育成しようという意思が感じられない」。「勤務時間が長すぎる」。「年功序列の企業風土が根強く、実力で評価してくれない」。その理由は人によって様々だろう。

では一方、この会社に残って頑張りたいと思う最大の理由は何か。

「仕事が嫌いでも好きな同僚がいて、職場やチームに一体感がある」。これが離職の可能性を低くする最大の要因という調査結果が明らかになった。終身雇用制度を維持し、家族主義的な経営を行なってきたかつての日本の会社ではない。転職によるステップアップが常態化しているアメリカがそうなのだ。

 ワシントン大学とトルーマン州立大学の研究チームがこのほど、過去15年間の仕事に対する満足度と従業員の退職率を調査した結果を公表した。それによると、仕事への不満が必ずしも退職の理由ではないという。この調査よると、職場のグループや同僚たちとの一体感を持っている人ほど職場にとどまる傾向が強いという。

この調査についてどう思うか。転職経験のある2人に意見を聞いた。外資系投資銀行を中心に3回の転職を経験しているイギリスの女性Aさん(36)は、「調査結果に驚きはない。転職を決める際、雇用条件や仕事の内容などは事前にわかっていましたから、あとはどんな人と一緒に働くかが最も気になった」という。Aさんは転職にあたって、直属の上司と複数の面接や食事を行ったうえ、同じチームの同僚とも何度かミーティングを重ね、「この人たちとなら一緒に仕事ができる」と感じたのが転職を決めた決め手になったという。

 外資系通信会社に勤める日本人プロジェクトマネージャーのCさん(31)も、「プラグマティックに見えるアメリカの会社ですが、国籍や人種が様々ですから、逆にチームの一体感や同僚との信頼関係というのは、個々人の仕事そのものに対するやりがいだけでなく、チームのパフォーマンスにも大きな影響を及ぼすものです」ともいう。

日本の上場企業では現在、新入社員の4割が入社後3年以内に辞めるという。この高い離職率を引下げるために、実力主義のインセンティブ制度を導入したり、人材育成や研修制度を充実させている。しかし、転職によるキャリアアップが常態化している米国でさえ、職場の一体感が離職率を下げる最大の要因になっているとすると、日本の経営者も優秀な人材の確保と維持に向け、単に給与や待遇面のみに囚われるのではなく、職場の一体感をどう醸成するか、という人材マネージメントの根本に立ち返る必要があるのではないか。

働くあなたの特集コラム